この作品は、確か前に Web で話題になったことから Web 上の立ち読みを読んで面白かった。ただ、Amazon のレビュー数が特別増えていないのが気になって、買わないでいた。が、1巻が Kindle で無料になっていたので買って読んだら、やっぱり面白かったので、全巻を買った。
萩尾望都の SF 漫画みたいに、未来の話、遺伝子操作で「産む男」が現れて、彼らがお嫁さん探しをする物語である。男性器に近い変な性器を持ってはいるものの、産むことができる体質であるため、外見はほとんど女である(ただし胸は育ちづらいようだ)。女性漫画家が昔からテーマにしてきたセクシャリティ問題の作品の典型であり、どうも自分はこういうものが好きらしい。主人公は心は気弱だが外見はゴリラのような質実剛健の男・氏家清隆で、彼が3人(のちに4人)の「産む男」たちと同居するラブコメである。
内容は、底抜けに明るい。「産む男」たちは、みんな可愛い(男だが)。テーマは、抜群によい。作者の才能と技量は、そんじょそこらの漫画家とは比較にならない。ただ、これは結局、インテリジェントでスペキュレイティブな設定先行型の SF 連作短編集のように書かれている。わたしは、この漫画を何よりも、一本の太い線が通った真剣な長編ドラマとして読みたかった。それこそ萩尾望都の「トーマの心臓」のように。作者には明らかに能力があるので、次は長編らしいシリアスな長編を描いてもらわなくては。
この漫画に限らず、クリエイティブで面白いのにあまり評価されずに終わる作品がある。ちゃんとわたしたちは応援しないと駄目だね。
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